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熟年離婚が増えてきたのと同時に、「熟年再婚」も増えてきています。
シニア世代が離婚したあとに再婚し、もう一度幸せを掴むのは素晴らしいことだと思います。
しかし、シニア世代の再婚ならではのトラブルや注意点もあります。
たとえば子供がいる場合は子どもの理解が必要になりますし、相続の問題にも直面します。
子どもがいない場合は、再婚相手との老老介護の問題なども起こるかもしれません。
今回は熟年再婚で気をつけるべきポイントを、子連れの場合と子なしの場合に分けてまとめました。
目次
熟年再婚の事情は、子供の有無で大きく異なる
シニアが再婚したときに注意すべき点は、子どもがいるかどうかによって変わってきます。
熟年離婚は成人した子供がいる人が多く、その場合は親権の話し合いがいらない上に子供も自立しているので、比較的再婚しやすいです。
しかし、子どもの心のケアと相続トラブルについては、子供が成人していても配慮が必要になってきます。
まずは、子連れ再婚の場合を見ていきます。
子供の心のケアの問題
親が再婚すると、子供の家庭環境が大きく変わることになるので、子供の心のケアが必要不可欠になります。
子どもに再婚を考えていることを事前に打ち明けて、理解を得ている円満な家族もいます。
一方で、再婚について事後報告になってしまったり、再婚相手と子どもが不仲になってしまったというトラブルも散見されます。
実際に、親の再婚について良く思っていない子どもの声を調べると、再婚相手との相性が悪い場合や、前パートナーをないがしろにする親への嫌悪感などが多かったです。
■再婚相手とうまくいかない子供の意見
・50歳にして「きゃっ間違えちゃった」と漫画のように舌を出す姿にドンビキしました。ふわふわしていて、いちいちいらっとします。
・再婚相手は「おかえりなさい」と笑顔で出迎えてくれます。しかし、私はその神経を疑うのです。何年も浮気したのちに、人の家庭を壊して、のこのこ家にあがりこんできて、私たち子供に普通に接してくる神経を。
・父は母をとても悪くいいます。(再婚相手が)愛人だったことは私たちは知らないことになっているので強気なのでしょう。
・再婚するな、とは言いませんが…再婚が早すぎることと、事後報告であることが腑に落ちません。
親と子が別居している場合は、親も子も立派な大人なので「お互い大きく口出しをしなくてもいい」と考える人もいます。
しかし、再婚相手も含めて家族が同居する場合は、特に子どもに対しても誠意ある対応をすることが大切です。
上記の子供の意見はすべて、再婚する親が自分本位な行動をした結果とも言えます。
子どもに再婚について打ち明ける際は、下記4点に気をつけて「一人の人間」として話すべきです。
■子どもに再婚の理解を得るポイント
- なるべく早めに再婚の相談・報告をする
- 再婚者が同席する場、同席しない場をどちらも設ける
- 前パートナーのことを悪く言わない
- 相続について事前に明確にしておく
再婚の報告はなるべく早めにする方が、結果的にはうまくいくケースが多いです。
熟年離婚から時間が経っている場合は、早い段階で子供と新しいパートナーが会う機会を作って、少しずつ信頼関係を築けるのが理想的だと思います。
しかし、熟年離婚から時間が経たないうちに再婚をする場合、子どもは「今まで不倫をしていたのでは」と疑います。
なので、再婚者が同席しない親子だけの時間をしっかり取り、理解を得られるようにコミュニケーションを交わすことが大事です。
子どもにとっては、自分を何十年も育ててくれた元配偶者の方が、思い入れが強いことも多いです。
決して、その気持ちをないがしろにしてはいけません。
子供にとっての実の親を悪く言ったり、再婚相手ばかり持ち上げる発言をしたりすることは、なるべく控えることが望ましいです。
さらに、親の再婚によって相続の取り分が少なくなることを子どもが理解している場合は、なおさら再婚への反発が強まりやすいです。
子どもの相続の問題
子連れで再婚した場合、連れ子に相続権が認められない場合があるという問題があります。
これは、法律上は再婚相手と子どもの間には親子関係がないからです。
特に、もっとも多い「女性が子連れ再婚をする」という場合、世帯主の夫が亡くなったときに連れ子に相続できなくて困る可能性が高いので注意が必要です。
連れ子に相続権を与えるには、下記いずれかの手続きを取る必要があります。
■連れ子に相続権を認める方法
- 遺言書を書く
- 養子縁組をする
上記いずれかの手続きを不備なく取れば、血が繋がっていない連れ子にも実子と同じように相続させることが可能です。
遺言作成の注意点
まず、遺言書の基礎知識から見ていきます。
遺言書には3種類あり、いずれかの方法で書面を残しておけば、連れ子を養子縁組しない場合も相続させることができます。
- 自筆証書遺言
- 自分で遺言書を書いて署名・押印すれば、遺言書として認められます。
しかし、法律で決まっている要件を満たさない遺言書だと効力がないので、書き方をしっかり調べて書く必要があります。 - 公正証書遺言
- 公証役場で本人が遺言内容を口述し、それを公証人が記述する遺言書です。
数万円の費用はかかりますが、不備なく遺言書を作成できる上に公証役場で保管してもらえるので、偽造や紛失のリスクがないので安心です。 - 秘密証書遺言
- 自筆で作成した遺言書を誰にも見せずに、公正役場に「証明」だけしてもらう方法です。
しかし、遺言書の保管は自分自身で行うので、偽造や紛失のリスクはあります。
一番手軽なのは、自筆証書遺言です。
遺言書の書き方を調べてそのとおり書いて、署名・押印をすればそれだけで遺言書としての効力が生まれます。
しかし、ルール通り書けていなかった場合は無効となるので、心配な人は弁護士に相談するか、公正証書遺言にしておく方が安心です。
秘密証書遺言は、手続きが多い割に確実ではないので、あまり使う人がいません。
遺言書の「存在」を公正役場が証明してくれるだけで、遺言書の作成や保管は自分でしなければいけないからです。
コストをかけずに自分で遺言書を書きたい→自筆証書遺言
相続の確実性を優先したい→公正証書遺言
また、遺書を書く際は、あまりにも一部の家族に偏った内容にするとトラブルのもとになります。
たとえば、配偶者や実子には最低限の相続できる割合が決まっています。これを遺留分と呼びます。
遺言によって遺留分より少ない相続を指定した場合は、相続人が遺留分の請求をすることができます。
つまり、遺言どおりに相続されない可能性があります。
養子縁組には2種類ある
子連れ再婚をしたあと、連れ子に相続させるもう一つの方法が「養子縁組」です。
再婚相手の子どもを養子にすることで、養子が実子と同等の立場になり相続権を得ることができます。
この養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組の2種類があります。
特別養子縁組は子供が6歳未満でないと適用できないので、熟年再婚の場合は普通養子縁組になるケースが多いです。
- 普通養子縁組
- 実の親、つまり前パートナーとの親子関係は続けたまま、再婚相手と親子関係を結びます。実の親からも、新しい親からも遺産を相続できます。
- 特別養子縁組
- 前パートナーとの親子関係を終了し、再婚相手と新しい親子関係を結びます。子供が6歳未満で、養親による養育がすでに始まっている場合のみ適用できます。
気をつけるべき点は、前パートナーから養育費をもらっている場合です。
養子縁組をすると、前パートナー(実親)から養育費をもらっていた場合は減額、もしくは養育費の支給が終わる場合があります。
特に、養親が子どもの養育をするのに十分な収入を持っている場合は、実親から養育費を引き続き請求するのは難しいです。
実親が養育費を払う義務が発生するのは、養親の収入では子育てが難しい(扶養義務が果たせない)場合のみです。
まれに、「離婚相手に養育費を払ってほしいから、養子縁組はしない」ことを検討する人もいますが、あまりおすすめできません。
一番の理由は、離婚相手の不満が大きくトラブルになりやすいからです。
また、万が一再婚相手とも離婚してしまった場合、また養育費が必要になっても再婚相手から養育費を請求できないというリスクもあります。
再婚相手と養子縁組をしておけば、離婚した後の養育費は再婚相手、つまり養親になります。
しかし、養子縁組をしておらず再婚相手と子供に親子関係がないと、離婚しても養育費の支払い義務はうまれません。
どんなときも子供を守るためには、連れ子を実子とほぼ同じ立場にできる「養子縁組」は効果的です。
子なし再婚の場合は相続と老老介護に注意
子なしで再婚する場合は、子どもの養育費や相続について悩む必要はありません。
しかし、財産相続の問題はなくなるわけではありません。
さらに、再婚相手の親ももちろん高齢なので、新婚生活を楽しむ間もなく老老介護の日々になることも…。
子なし熟年夫婦の相続問題
子どもがいない場合、パートナーの財産はすべて配偶者のものになると思っている人が多いです。
しかし、子どもがいない場合は、配偶者以外の親族にも相続権が発生します。
配分比率は家族構成によっても異なります。
- (例1)再婚相手の親が健在の場合
- 親:自分=1:2で相続することになり、義理の親が3分の1を相続します。
- (例2)親は他界し、再婚相手に兄弟・姉妹がいる場合
- 兄弟姉妹:自分=1:3で相続することになり、4分の1は彼らに相続することになります。
子なし夫婦の場合も、遺言書によって相続をしっかり定めておくことをおすすめします。
子なし夫婦の遺言書のポイント
子なし夫婦の相続には、親が健在かどうかによって大きく異なります。
結論から言うと、両親が亡くなっている場合は、遺言によって再婚相手が全て相続することもできます。
なぜなら、両親がすでに亡くなっている場合、兄弟・姉妹は「最低●割は相続できる」という相続額の保証がない(=遺留分がありません)からです。
親が健在の場合は、最低3分の1は相続をする権利があります(=遺留分がある)。
熟年再婚だと親がすでに他界している場合も多いと思うので、遺言によって相続を指定できる可能性が高いかと思います。
再婚相手を遺族との相続争いに巻き込まないためにも、しっかりと遺言を残しておくことをおすすめします。
老老介護の問題
再婚相手の親が健在の場合、熟年再婚してすぐに老老介護が始まるというケースも増えてきています。
特に、お互いに子どもがいないと、妻への介護負担が大きくなることが多いようです。
早くに結婚した場合と比べると、義理の親との関係性が築けていない状態で介護が始まるので、心理的な負担が大きくなりがちです。
そしてもちろん、心理的な負担だけでなく肉体的な負担もあります。
自分自身も加齢によって身体がうまく動かせなくなってきているなかで、介護という重労働を行うのは大変です。
この老老介護のトラブルから、せっかく再婚してもまた離婚をしてしまうシニア夫婦もいます。
老老介護トラブルをなるべく防ぐために
熟年再婚をする際は、相手方の両親が健在かどうか(要介護状態なのかどうか)を確認した上で、介護の分担についてしっかり話し合うことをおすすめします。
また、ヘルパーへの依頼やデイサービスなどの高齢者施設の利用も検討できると、なお良いです。
妻に親の介護を任せっきり、という状態にならないようにしたいところです。
次は、熟年結婚のメリットとデメリットについての記事です。
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